もうポートフォリオレビュー童貞なんて言わせない

前回のレビューからもう二ヶ月も経ってしまった。その間にプロジェクトとして一つ組んだしということで、それらの写真を持ってノコノコと新宿のニコンサロンに行ってきた。今回担当のポートフォリオレビュワーは、写真家として現在も最前線に立ち続けて活動されている北島敬三さん。そう、「写真特急便・東京」、「New York」の北島さんだ。晴れてるし、北島さんだし、ってことで参加者もきっと多いだろうなと思ったれけど、最終的には13人とオーバーエイジ枠3人の計16人。終わったのが開始から2時間半後くらいだったから、一人当たり約10分弱かな。前回の教訓を生かし、今回はレビューそのものを録音しておいた。レビュー全体から受けた印象を体験として終わらせてしまうこともそれで良いのかもしれないが、時間を置いて、後からその言葉をゆっくりと受け入れる重要性も感じていたからだ。そして、それをより冷静に実行するためにも、という事で文字に書き起こしてみた。お陰で緊張して話を聞いているだけだったら素通りしてしまうことも、自分の中でいろいろ掘り起こすことが出来たかなと思う。それを自分のためだけという事で閉じてしまってもいいけれど、まあブログもやってるし、ということで公開した。んで、老婆心ながら俺以外の人が読んでもなんとなく分かるように、北島さんがこれそれと指し示した写真にFlickrのリンクも張っておいた。ただ一々開くのが面倒かもだけど。以下、10分弱のレビュー。


北島さん(以下 北)「吉田さん?」

俺「はい」

(申込用紙に目を通す)

北「(Juna21の規定年齢制限が)ギリギリ (笑」

俺「ギリギリっす」

(写真に目を通す)

北「これなに?

俺「えー、これは井の頭動物公園で山猫かなんかの、山猫の里みたいな...」

北「これ模型?」

俺「模型っす、猫じゃないっす、はい(笑」

北「山猫いんのかと思った。こういうジオラマね。里山にいますよ、っていう」

俺「はい」

(写真に目を通す)

北「まああの、日の丸二つ出てくるけれど何かあるの?」

俺「たまたまです(笑」

北「あーたまたま」

俺「特に何か意図があるわけではないです」

北「写真はずっと一人でやってるんですか?」

俺「いや撮り始めてはまだ二年ぐらい、二年ちょいなんすけど、あのー、一人でやってますね。情報交換するような友達は何人か居るんですけど」

北「ふーん。うん、なんかハッキリしてる写真だし、うん、こういうところに関心が行くんだっていうのがちょっと不思議で面白いけどね」

(写真に目を通す)

北「あの、もう少しやっぱり量の...量の中から選んだ感じが欲しいかな。うーん。こう、格上げしないでさ、格上げしないでどんどん落として残っていくのが増えていくのでやってさ、これもまあオッケーかな、で入れちゃわないでさ、かなり良いけど外そうってやって」

俺「(納得)あーそうですね。はい、はい」

北「うん、うん。(そうやって)クオリティを上げて行くほうが良いような気がするね、せっかくなんだからさ。これちょっと面白いけどどうかなー、なんて思うよね。イマイチ感というか」

俺「あー、そうですか」

北「なんか...うん。これとかすごい好きだけどね。なんかさ...これもすごい好き。これも変。で、すごい変なところに行くようで、そうでもないとこでってのもあるからさ(笑」

俺「あー、はい(笑」

北「そういうところをもっと強くしてさ、個性出したらどうかな」

俺「あんまり自分では変だとおもってはいないというか...別に奇をてらって撮ってるわけではないというのはあるんで...はい」

北「うーん、まあでも俺からするとそういう感じだよ」

俺「はい」

北「ただちょっと変な所があって...うーん。なんかさ、この世なんだけどこの世じゃないみたいな感じになるといいなーと、ちょっと希望的には思うね。なんかほら、よく見慣れてんだけど、あれもしかしたら全然違う星なの、みたいなさ。違う、えー、えーっていう感じのさ。地球に見えんだけど、えーもしかしたら地球に似た違う星かなっていうような感じ?になるといいかとはちょっと思うんだけどね。で、この人、宇宙人?とかさ、もしかしたら、とかっていう感じになっていくと面白いかと...これとか、これもちょっと怖いんだよな、これもちょっと暗いでしょ。これも面白いんだけどね...もうちょっと何とか...でもこれでいいんだろうな、このヘッタクソ構図のほうが(笑」

俺「ははは(笑」

北「アクチュアルだ(笑」

(写真に目を通す)

北「でもはっきり面白いとおもうのはこういうのだね、俺は。こういう感じ、この4枚とかはさ。なんか、これ地球で撮ってんだよね?って感じ。だけど全然そっくりで違う星みたいな感じがするっていうか。なんかそういう変な感じがさ、これもちろん狙ってないんだけどさ、見かたの中に入ってるんだろうね。面白がるところがね。うーん、これもまあ面白いんだけどね。でもまあそのぐらいやっちゃった方が良いんじゃないのかなー。とっても面白いね、みんな面白いんだけどね。だけど、なんていうのかな。あ、だけどこういうさ、例えばこういうみんな帽子揃ってて面白いみたいな事だったら...なんていうんだろ、これ、なんか地球人が面白がる感じだよね(笑」

俺「ちょっと結構無理に座ってるところが、自分は...」

北「で、揃っちゃってて。でもなんかそういう状態の面白さってさ...」

俺「...ちょっと弱い」

北「うん、弱いよね。それより、ここってどこ?みたいな、全体もあって部分もある感じのほうがさ。まあこれもちょっと、まあ綺麗だけどな...。(いくつか写真を並べて)まあこんな感じで、もし30枚くらい揃うと面白いだろうね。このクオリティで行く、ぐらいでいくとさ。うーん、他にも、実はこういうのも勿論良かったりするけど、これ面白いね。その辺、こういくと良いと思うけどさ」

俺「わかりました」

北「まあ本当に...まあこの辺諦めちゃってさ(笑」

俺「ははは(笑」

北「撮るけど選ぶときには落とそうっていうさ(笑」

俺「はい」

北「どうだ見ろ、っていうのだけにしていく感じでさ。他の人真似できないでしょ、ってさ。これ誰か撮りそうじゃん」

俺「そうですね、はい」

北「で、これは撮れないだろうけどさ、他の人は。って言う風にやってけばさ...これもこういう撮りかたは中々しないしないよねー多分、っていうのがあるから...。なんか、ちょこっと面白いでしょ、ちょこっと面白いでしょって、ちっちゃくなんないでさ、この星どこの星ってなるような感じで。地球にそっくりで地球じゃない場所になると良いね。そんな感じですね」

俺「あ、はい」

北「じゃあこの辺で30枚集めてみたら」

俺「ありがとうございます」

北「はい」


北島さんの指す写真をベースに組むのは確かに近道なのかもしれないな、とは思う。でも自分がやりたい事、進みたい方向性とはちょっと違う。でもそれは「そういう風に見えてしまう」という組み方というか、何か別の問題があるのかもしれない。じゃあそれをどうするのか、ってのは今すぐ答えは出ないだろうけど、もう少し時間をかけてしっかり考えないといけないな、と思った。あと「量の中から選ぶ」ってのは大島さんからも指摘されていた事だ。これがすぐに見透かされたくらいだし、まだまだ甘いという事だろう。ちょびっとだけ褒めて貰えたのは嬉しかったけど、他にも褒められていた人は何人か居たし、そんな事でいちいち浮かれてもしょうがない。で、最初から最後まで他のレビューも聞いてたけど、長丁場だったので後半は集中力も切れ気味だった。幾つか気になった言葉もあるが、正確にはちょっと思い出せないので、なんとなくニュアンスで以下。

「同じような構図や内容の写真が集まると、反復的になる。そういう文脈のない写真群の中で物語性のある写真があると良くない」「写真も記号だし、言葉も記号。写真を写真だけで扱おうとせず、言葉も併せて考えるべき」「フォーマットの需要性、白いふちをどのくらい残しているのか、どのサイズなのか。だってイメージに枠はないけど、写真は物として枠があるからね」「ニコンの審査落ちたからって違う写真撮るのってどうなの?ダメだったらまた変えて撮るんじゃないのっていう風に見えるよね」「こう一枚一枚は良いんだけどさ、こう揃うと美意識に見えるよね」「(ステートメントに対して)そういう事は言わないほうがいいよ。うーん、何か好きなんですよね、くらいで言っておけばいい。そういう事を言ってしまうことで、ああそうですか、となってしまう」「ステートメント、これは重要。それ以上に重要なのはタイトル。これは一週間くらい寝ないで考えてもいい。そのくらい重要」「こういう場でいうのも何だけど、誰にでも写真を見せないほうが良い。一々考えて混乱してもしょうがないからね」

ちょっと雑かもだけどそんな具合かな。やっぱり全体を録音すべきだったかも。あとは単写真、組写真、群写真について。あまり過度に組みとしての流れを意識しすぎるもの危険かな、とちょっと思い直した次第。どっちが良いとか悪いとかではないんだけれど、大島さんは全体のレビューだったのに対して、北島さんは全体の印象から一枚へ掘り下げて行ったり、全体から語ったり、より感覚的だったように思う。でも感覚的な鋭さはキレっ切れで、厳しいときは厳しく、核心を突くような指摘も言葉も多く、とても面白かった。是非また参加したい。ただ、それ以前に俺はもっと写真そのものを撮るようにせんと、とは思うけど。